Home 2015年OUTFEST LGBT映画祭 【OUTFEST 2015】最終日シークレット上映、ジェームズ・フランコがゲイからノンケに転向した人物を演じた『I Am Michael』を観る

【OUTFEST 2015】最終日シークレット上映、ジェームズ・フランコがゲイからノンケに転向した人物を演じた『I Am Michael』を観る

【OUTFEST 2015】最終日シークレット上映、ジェームズ・フランコがゲイからノンケに転向した人物を演じた『I Am Michael』を観る
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OUTFEST最終日に行われるシークレット上映で、キリスト教にのめり込んだ結果ノンケになった、実在する元ゲイ活動家のマイケル・グラッツェをジェームズ・フランコが、ザッカリー・クイント、エマ・ロバーツがそれぞれマイケルの恋人役を演じた『I Am Michael』を観ました。

I Am Michael

i-am-michael-review_01マイケル(ジェームズ・フランコ)は恋人のベネット(ザッカリー・クイント)と共に若者向けゲイ雑誌を創刊し、全米を回りながら積極的にセクシャルマイノリティのための人権活動を行っていた。ある日、父親の持病の心臓病を自らも発症するのではないかと不安に陥り体調不良になったマイケルは、たまたま読んだ聖書や、その頃知り合った若者ニコ(アヴァン・ジョーギア)などの影響もあり、次第にキリスト教にのめり込んでいく…

製作総指揮:ガス・ヴァン・サント
原作:ブノア・デニゼット・ルイス「My Ex-Gay Friend」
監督:ジャスティン・ケリー
脚本:ジャスティン・ケリー、ステイシー・ミラー
撮影:クリストファー・ブロベルト
音楽:ティム・クバスノスキー、ジェイク・シアーズ

ジェームズ・フランコ:マイケル
ザッカリー・クイント:ベネット
チャーリー・カーバー:タイラー
アヴァン・ジョーギア:ニコ
ダリル・ハンナ:デボラ
エマ・ロバーツ:レベッカ
レヴェン・ランビン:キャサリン

OUTFEST最終日にシークレット上映が行われます。前日にスタッフに尋ねても「明日までお楽しみ」と言われて当日まで作品名は明らかにされません。
去年は上映作品はクリステン・ウィグとビル・ヘイダーが双子を演じた『スケルトン・ツインズ 幸せな人生のはじめ方』だったそうです。

スケルトン・ツインズ 幸せな人生のはじめ方 [DVD]

販売元:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント( 2015-04-29 )

時間:93 分

1 枚組 ( DVD )



今年のシークレット作品はつい先日公開され話題になっている、全編iPhoneで撮影された、LAを舞台にした2人のトランスジェンダーを描いたキューティー映画『Tangerine』かな?と予想していました。

結果的には、実在するゲイの活動家がキリスト教にのめり込みノンケに転向して妻をもらい宗教活動を行うようになる様を描いた、各映画祭で上映され賛否両論を巻き起こした映画でした。
初日が同性婚を肯定的に描いた『Jenny’s Wedding』で、最終日のシークレットがゲイからノンケに転向した人物を描く『I Am Michael』というのも、なかなか挑戦的な作品選定です。

マイケル・グラッツェは若者向けゲイ雑誌「Young Gay America(YGA Mag)」の共同創立者です。元々は全米の高校などを回り、セクシャルマイノリティについて理解を深めるための活動を行っているゲイ活動家としても有名で、ブログなどを通して積極的に情報発信をしていました。
そんな彼がキリスト教にのめり込み、最終的にはゲイからノンケに転向することを公表し、愛する女性と結婚して教会で宗教活動を行うようになります。

映画はマイケルが移動した場所とその年代を字幕で提示して、当時の様子を淡々と描いていきます。結局マイケルがノンケに転向するきっかけ、キリスト教にのめり込む劇的なきっかけはありません。
何となく色々なことが重なり徐々に宗教にはまっていくのです。ゲイを否定しているキリスト教を追い求めるため、そしてその頃知り合った、後に妻となる女性との信頼関係から発展した恋愛もあって、結果としてゲイからノンケに転向したのです。

映画は制作者からの明確な答えや意見を主張してきません。全体に描かれているのはマイケルの活動に対する生真面目な様子です。生真面目ゆえに隠れゲイで苦労している若者のために雑誌を創刊し、生真面目ゆえに自身の体調不良を父の持病の心臓病に重ねて何度も検査をし、生真面目ゆえに、興味をもったキリスト教をより深く知るために学校に通います。

一方で、恋愛に関しては開放的な姿も描かれます。バーで引っ掛けた若者を連れて恋人と3Pにふけったり、気分屋的に長年の恋人と急に別れて、その後も深夜に電話したり…そんなマイケルの等身大の姿をジェームズ・フランコが好演しています。ジェームズはここ最近、自身が原作の映画を作ったり、癖のある脇役を演じたり興味深い活動をしています。

アカデミー助演男優賞は?原作映画『Palo Alto』が公開決定。ジェームズ・フランコの今

本人もゲイをカミングアウトしているザッカリー・クイントが、マイケルに寄り添い、深いところで理解している恋人役を好演しています。目立った感情表現の芝居はありませんが、静かに優しく寄り添う姿は凄く良かったです。

マイケルと出会うゲイの若者たちを人気TVシリーズで活躍した若手俳優たちが演じます。マイケルとベネットと3Pを通じて仲良くなり、そのまま活動に同行するタイラーを演じたのは『エスパレートの妻たち』リネットの双子の息子役を演じていたチャーリー・カーバー。彼はシークレット上映にも参加していて、ジャスティン・ケリー監督とともに壇上に上がりました。

マイケルが宗教にはまるきっかけの1つにもなった、スピリチャルな活動に参加していた若者ニコを、Eテレで放映していたヴィクトリア・ジャスティス主演「ビクトリアス」でかっこいい友達オリバーを演じていたアヴァン・ジョーギア。
アヴァンは映画を見ている最中、彼であることを全く気付きませんでした。素晴らしい化けっぷりです。

エマ・ロバーツが『Palo Alto』に続いて、ジェームズ・フランコ演じるキャラクターに恋をする役を演じています。本作では全編を通して女性キャラは何人か登場しますが、後半登場する彼女はやはり華があり特別な人物であることを印象づけます。彼女の起用は正解でした。

本作はキリスト教とゲイという欧米特有の問題をはらんでいるので、映画のテーマが身近な問題として共感したり考察できるかというと、そこは難しいというのが正直な感想です。
ただゲイからノンケに転向した実在の人物の半生記として見た時、ゲイというフィルターを外しても、市井の人の運命とは複数の小さなことが重なった結果でしかないんだなという点で共感できます。i-am-michael-review_02劇中の、妻となるエマ・ロバーツとジェームズ・フランコ
i-am-michael-review_03実際のマイケル・グラッツェとその妻

OUTFEST 2015のレポートを電子書籍にまとめました。

cueで掲載していた記事を大幅に加筆修正し、各映画上映後に行われた監督、俳優が参加したティーチインを初の完全収録。写真も多数掲載しています。さらにiBooks版には予告編動画が収録しました。

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