Home 国内NEWS 『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』トークショー付特別試写会レポート

『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』トークショー付特別試写会レポート

『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』トークショー付特別試写会レポート
0

1月21日(土)より新宿ピカデリー他全国ロードショー、NYに暮す男女3人の、ちょっとこじれた三角関係を軽やかに描いた『マギース・プラン 幸せのあとしまつ』。公開に先立ち1月18日(水)、コラムニスト、ラジオパーソナリティ、ジェーン・スーさんと高橋芳朗さんによるトークショー付特別試写会が実施されました。


自称「未婚のプロ」として女性に絶大な人気を誇るコラムニスト、ラジオパーソナリティ、ジェーン・スーさんと、TBSラジオ「ジェーン・スー生活は踊る」(月~金11:00-13:00)で番組内選曲および金曜コーナー「ミュージック・プレゼント」担当する高橋芳朗さんによるトークは、本作で描かれている三角関係についてや、劇中で使われている楽曲、ファンションなどを語る盛りだくさんの内容となっています。

『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』トークショー付特別試写会レポート

(ジェーン・スー:J、高橋芳朗:T)

J:私にとっての格好良いイーサンは『リアリティバイツ』です。ニヒルでシニカルなんだけど、憎めないところがあって…いつくらいからですかね?こうなったのは。

T:『ビフォア3部作』(リチャード・リンクレーター監督)あたりからですかね?特に『ビフォア・ミッドナイト』は今回の映画と重なる部分も多いですよね。

J:今回ますますその情けなさに磨きがかかってますよね。ジャンル的には広義でのラブコメにギリギリひっかかる作品ですけど、いまありそうでなかったような内容がけっこうありましたよね。

T:そういった意味で「この男、不倫して結婚したけどやっぱり元の奥さんに返品します!」というのは、いままでにないなかなかおもしろい問題提起だと思いました。題材的には結構扱いがむずかしいと思うんですよ。マギーの行動は倫理的にちょっと微妙なところもありますから。

J:もっと悲劇や憎悪がうずまいてもいいはずなのに、どこかちょっとユーモアが漂ってる。

T:キャスティングがいいのか、それとも演出がいいのか……マギーの行動自体はどうかと思うところがあるし、実際に彼女は劇中で周囲の人たちからめちゃくちゃ怒られてるけど、それでもマギーの選択をじっくり見守っていけるあたり、絶妙なバランスで成立してるお話ですよね。

J:監督が女性ということもあるのかもしれませんが、一番印象に残ったのは、対立構造になるはずのマギーと前妻ジョーゼットにバディ感が出たところ。通常なら、お互いを憎み合ったり、嫌いあったり、会うことはあっても相手に対してのヘイトがメインに描かれると思うんです。それがこの物語では、何を思ったか、ふたりがいい友達になってしまう。これが非現実的かというと、実はそうでもないんじゃないかなと。
T:最初はジョーセットもマギーに対する抵抗感を露わにしていたけど、ふたりが気持ちを通じあわせていく過程が自然に描かれていましたよね。

J:音楽もすごくステキでしたよね。

T:音楽はビースティ・ボーイズのアダム・ホロヴィッツが手掛けています。冒頭からいきなり古いスカが流れてきて「おしゃれだなー」と思ったけど、要はスカがマギーの人生のペースの象徴になってるんですよね。とくに序盤はそれがすごく強調されていて。
だからこそ、ジョンと結婚したあとに彼が大音量で鳴らしてるブルース・スプリングスティーンの『ダンシング・イン・ザ・ダーク』とのコントラストが際立つ。

J:娘のリリーを二人でいる直前のシーンまでワルツが流れてるのに、ジョンの登場で音楽が突然ジャーン!と変わる。あの時点でわかりますよね。

T:あの最初に『ダンシング~』が流れるシーンがふたりの行く末を示唆しているという。『ダンシング~』は劇中で2回流れるから、当然監督としてはこの曲になにかしらの意図を込めているということですよね。実は『ダンシング~』ってタイトルから連想されるようなロマンティックな曲ではなくて、当時プロデューサーに高いハードルを課せられたブルースが悶々とした状況のなかでつくった曲らしいんです。つまり『ダンシング~』とは意訳すると「暗中模索」であると。

J:五里霧中ってことですね!ある意味ジョンのテーマ曲ですね!

J:衣装ではジョーセットが印象的です。彼女の衣装は必ず(首回りに)毛があるんですよ!常に獣の毛をまとってる。そこに彼女の強さが表れていて、すごく上手な演出だと思いました。フェイクファーじゃなく、狩ってきた獣の皮をまとってるみたいで(笑)
その彼女が北欧なまりで「私は夫を奪われてた悲劇の妻でいくつもりはない」とか、元ダンナのジョンにに対して、「あなたいつまでも被害者ヅラでいるつもり?」というようなセリフがありました。
彼女は絶対に脇役にならないんですよね。自分の人生の主人公になるということに徹底的にこだわっていて、絶対に自分の人生の主人公でいようという意識を手放さないんです。日常生活のなかで、その意欲と、他者への思いやりに欠ける性分が背中あわせではあるのですが。

一方マギーは、ジョンに「君は何がほしいのか?」と問われ、「自分に正直でいたい」と答えます。この「自分に正直でいること」が、この映画を面白くしてる要因のひとつだという気がします。

『マギーズ・プラン』ってどんな映画?と誰かに尋ねられたら、私はどう答えるかなと考えた時、すぐに答えは出てきませんでした。むずかしいんです。テーマは何?と聞かれたら、人それぞれだとは思うのですが、私は「大人が自分に正直になるのとみっともない。けれど、それがみんなに幸せをもらたすこともある」ということがわかる映画だと思いました。
正直って支離滅裂で、筋が通らなくて、人に迷惑をかける場合も多々ありますよね。大人になると建前論が非常に強固になって、本心が後ろに隠されていく。

T:「不倫して結婚したもののやっぱり返したい」みたいなケース、実際に自分の身の回りであったことある?

J:結婚したあとだと正直に「返したい」とは言えないんじゃないかな。自分が間違いを犯したとは、まず思いたくないでしょうし。マギーのは自分が犯した間違いも素直に認めます。あれが普通はできなくて、えらいなと思いました。

T:最後のシーンも人によって受け取り方がちがってくるでしょうね。あれをハッピーエンドととるか、またやらかすことをほのめかしているのか(笑)

J:マギーはまたやるタイプですよ(笑)
付き合う相手によって、自分の性格のどの部分が強調されるか変わりますよね。あんなにステキだったジョンが自分の前ではただのワガママになってしまったとマギーは悩みますが、マギーの前では全開なジョンの自己中心的な考えを抑制していたのは、ジョーゼットが輪をかけて自己中心的だったからと後から気づく。パワーバランスってあるんですね。

J:NYの街並み、ファッションとインテリア、部屋、スタイリング、すべてが良いですよね。

T:あと付け加えておくと、プロデューサーがアダム・ホロヴィッツのお姉さんのレイチェル・ホロヴィッツなんですよね。彼女は下積み時代にウディ・アレンやウェス・アンダーソンと仕事したことがあるみたいなんですけど、ふたりの影響を感じさせる部分もあるかなと。ニューヨークのおしゃれなラブコメということではウディ・アレンの一連の作品の系譜にあたるともいえるし、離婚した夫婦とその家族というところではウェス・アンダーソンがプロデュースした『イカとクジラ』を彷彿させたりもするし。あの映画もブルックリンが舞台でしたね。

マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ

監督・脚本:レベッカ・ミラー『50 歳の恋愛白書』
出演:グレタ・ガーウィグ、イーサン・ホーク、ジュリアン・ムーア
2015年/アメリカ/99分/原題:MAGGIE’S PLAN/配給:松竹
公式HP:maggiesplan.jp
© 2015 Lily Harding Pictures, LLC All Rights Reserved.

LEAVE YOUR COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です