恋のからさわぎ
Story
新しい学校に転校してきた冴えないキャメロン(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は学園で一番人気の女の子ビアンカ(ラリサ・オレイニク)に一目惚れ。でもビアンカの家は厳しくてデート禁止。デートが出来る条件は姉キャットもデートをすればというもの。しかし姉のキャットは正反対の性格でパーティーも男も興味なし。そこでキャメロンは不良のパトリック(ヒース・レジャー)を金で雇ってキャットにデートをさせようとする…Cast
ヒース・レジャー:パトリックジュリア・スタイルズ:キャット
ジョセフ・ゴードン=レヴィット:キャメロン
ラリサ・オレイニク:ビアンカ
デヴィッド・クラムホルツ:マイケル
アンドリュー・キーガン:ジョーイ
スーザン・メイ・プラット:マンデラ
ガブリエル・ユニオン:キャスティ
ラリー・ミラー:ウォルター
カイル・シーズ:ボギー
Staff
製作:アンドリュー・ラザー監督:ジル・ジュンガー
脚本:カレン・マックラー・ラッツ,カーステン・シムズ
撮影:マーク・アーウィン
音楽:リチャード・ギブス
Goods
この作品は2008年現在、国内のDVDの販売・レンタルがありません。(ビデオレンタルは可能)とてもいい作品なのでDVDの再発を願います!!
【09年追記】
‘10年、とうとうDVD化となりました。
Notes
傑作です。実に巧みなシナリオ構成です。Goods欄にも書きましたが、2008年現在、日本ではこの作品はレンタル「ビデオ」でしか見れません。セルDVD、もしくはレンタルDVDでの再発を切に願います。
邦題のタイトルはシェークスピアの『から騒ぎ』からの借用ですが、お話は同じシェークスピアの『じゃじゃ馬ならし』が基になっています。それとジョセフ・ゴードン=レヴィット演じるキャメロンのキャラ設定は『真夏の夜の夢』に出てくる妖精のパックを連想させます。
転校、学園内の派閥、パーティー、恋愛、友情…軽妙な語り口の典型的なキューティー映画なのですが、全ての登場人物の設定自体が素晴らしく血が通っているので、さわやかな印象の中に感動がスパイスとして利いている素晴らしいキューティー映画になっています。
キャットを演じるジュリア・スタイルズの演技が素晴らしいです。最初は大人ぶって冷めてた女の子が、ヒース・レンジャー演じるパトリックの熱烈なアプローチで徐々に女の子っぽくなっていく様を丁寧に演じていました。
音楽に関しては劇中での使い方が秀悦です。日常との地続き感のある素晴らしいシーンを、音楽を巧みに使って演出しています。
ヒース・レンジャー演じるパトリックが校庭で熱唱する曲はFrankie Valliの「Can’t Take My Eyes Off You」(邦題:君の瞳に恋してる)。この曲のの使い方が、実に小粋な演出が施されていて、キューティー映画屈指の名シーンになってます。
通常こういう歌のシーンは、観客にだけ聞こえる「プロのオケ(演奏)」で曲を聞かせて盛り上げます。しかし、この映画のこのシーンでは、そのような「音響演出」をせず、あえて全て現実的に存在する音のみで構成し、とても素敵な演出を施します。
歌は校内放送のスピーカーを通してで、妙にエコーがかかっていて、歌のオケはその場にいた吹奏楽部。ヒース・レンジャーの歌も後から技術的に手を加えず若干下手っぴ(笑)、さらに歌の終わりにはグランドにいる他の生徒の拍手。
これらは全ては映画でなくても観客が日常で聞ける音です。その日常で聞ける音を映画的に組み合わせ演出すると、こんなにロマンティックなシーンになるわけです。観ている人が「もしかしたら、こんなロマンティックな場面に自分も出会えるかも」と思わせる、日常と地続き感があるファンタジーが実に素晴らしいんです。
また、パーティーでパトリックとキャットが70年代のヒット曲、Nick Loweの「Cruel To Be Kind」を聞くシーンがあるのですが、この曲に入るタイミング、演出、そして2人の表情がまたまた素晴らしすぎます。(下のビデオの3分11秒あたりからのシーン)
前の曲が終わり、カメラは舞台から後ろの方で見ているパトリックとキャットまで引きます。見つめ合う2人。そこに「Cruel To Be Kind」のイントロ。
「これ、私の好きな曲だわ!」びっくりするキャット。
「君のためにリクエストしておいたんだよ」とパトリック。
驚きの表情でパトリックを見つめるキャット。
そこにイントロが終わり、前の人山が割れて真ん中からLetters To Cleo * 1 のボーカルが2人の前に現れ歌い始める…
こちらのシチュエーションも凄く日常的。だけど演技、タイミング、選曲、演出、全てが計算されていて完璧なので、完全にファンタジックでロマンチックなシーンとして見事に成立しています。
当初はヒロインと思われていたキャットの妹、ラリサ・オレイニク演じるビアンカが着ているTシャツに「阪急電車 急行は速い」という謎の言葉が書かれていて(笑)、これはフジテレビの「トリビアの泉」でも採用されましたね。
2006年公開のキューティー映画『モテる男のコロし方』のジョン・タッカーの弟役は、明らかにこの映画のヒースをイメージしています。
髪型がまずこの映画のヒースっぽい。登場シーンも似てる。さらにその登場シーンのときに聞いている音楽がCheap Trickの「I Want You To Want Me」。
これは、この映画のエンディング曲です。
2008年、ヒース・レンジャーが28歳という若さで亡くなってしまいました。
この映画を最後に、ヒースは青春映画には出演しないと宣言し、事実これ以降はキューティー映画に出演していません。
本人はこの映画が嫌だったかもしれませんが、この映画はやはりヒースの代表作であると強く思います。
この映画、’09年にアメリカのABCでTVドラマ化されています。
* 脚注 *
- エンディングにも登場し、Cheap Trickの「I Want You To Want Me」のカヴァーを建物のてっぺんで演奏しています。 [↑Back]


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