ロイヤル・セブンティーン
Story
ダフネ(アマンダ・バインズ)はニューヨークに住む17歳の女の子。まだ見ぬ父親に会いたいと思っていたが、とうとう決意し単身イギリスに渡る。そこでダフネは父親が有名な政治家ヘンリー・ダッシュウッド(コリン・ファース)だということを知る。突然現れたダフネにヘンリーはもちろん、社交界やマスコミは騒然。ダフネはイギリス上流社会に一大騒動を巻き起こし、ついにはヘンリーの政治活動にまで影響を及ぼしてしまう…Cast
アマンダ・バインズ:ダフネ・レイノルズコリン・ファース:ヘンリー・ダッシュウッド
ケリー・プレストン:リヴィ・レイノルズ(母)
ジョナサン・プライス:アリスター
アイリーン・アトキンス:ジョセリン・ダッシュウッド(祖母)
アンナ・チャンセラー:グリニス
オリヴァー・ジェームス:イアン
Staff
製作:デニーズ・ディ・ノヴィ,ビル・ガーバー,ハント・ロウリー原作:ウィリアム・ダグラス・ホーム
オリジナル脚本:ウィリアム・ダグラス・ホーム
監督:デニー・ゴードン
脚本:ジェニー・ビックス,エリザベス・チャンドラー
撮影:アンドリュー・ダン
音楽:ルパート・グレグソン=ウィリアムズ
Goods
Notes
この映画、ウィリアム・ダグラス・ホームという人の戯曲が原作です。その原作を元に1958年アメリカ映画として『Reluctant Debutante』というタイトルで映画化されています。監督はジュディ・ガーランドの夫と同時にライザ・ミネリの父であるヴィンセント・ミネリ。オリジナルではイギリスで出会う男の子がドラマーの設定です。そのリメイクです。
主役のアマンダ・バインズは、子役出身のアメリカでは大人気のティーン・アイドルです。キューティー映画も多数出演しています。
アマンダは動いていたほうがかわいいです。映画のポスターやDVDパッケージの写真と映画本編の顔が全然違います。この映画、ポスターとかでのアマンダのイメージ作りが失敗してると思います。もったいないです。
アマンダのファッションは、今っぽいガーリーなものからカジュアル、フォーマルまで実に様々で見ていて楽しいです。さらにコリン・ファースまでもが、着せ替えシーンと鏡の前でおどけた演技を見せてくれます。
音楽に関しても、さりげなくこだわりがあっていいです。
お母さんがやってる結婚式のパーティーバンドの演奏にセリーヌ・ディオンの「Because You Loved Me」があったり、主人公がロンドンに着いたときの音楽がクラッシュだったり、パーティーのシーンで、みんなオリノリで踊る曲がJ・ブラウンだったり、父親が昔好きだったのがリック・デンジャーでなんとなくリアルだったり * 1 …
ミュージシャンという設定の男の子役が実際に歌手のオリバー・ジェイムスですからステージシーンも自然です。
しかし、オリバーは本来、歌手のせいか口パク演技がちょっと下手。だから本人が歌っているのにもかかわらず口パクがずれていて「この歌、吹き替えか?」と思ってしまいます(笑)
ちなみに、彼氏とはじめて出会うときの主人公の台詞が「そのギター、ギブソンね。」というマニアックなのも、歌手(母親)の娘という設定が効いてていいです。
この作品の監督、デニー・ゴードンは女性で「アリー My Love」「Sex And The City」など主にテレビの人で、この作品の次にオルセン姉妹初主演映画「ニューヨーク・ミニット」を監督しています。この映画も、色物のように見えて、細かい演出はうまい作品でした。
あと、この監督はデジタルの使い方が実に巧みです。デジタルで何をどう処理すれば効果的か非常に理解しておられる。
イギリスのシーンでは結構お屋敷や背景をデジタル合成をしているのですが、カットの割り方、レイアウトなどの工夫でほとんど判りません。見事です。
カメラも美しく気品があって素晴らしいです。カメラマンは『ゴスフォート・パーク * 2 』『バレエ・カンパニー』と、ロバート・アルトマン監督と一緒に仕事をしているアンドリュー・ダン。この人、望遠レンズを使った撮影が実にうまい。
キューティー映画としての物語構成は、定番で安心できます。ドタバタ、しっとりしたシーン、ともにバランスよく配置されています。ディズニー映画によく見られるパターンの親子物定番なストーリー展開なんですが * 3 、一つ一つのエピソードのアイディアがいいです。
ただ各エピソードを章に見立てて、タイトル字幕で説明しながらの進行となる展開が話の流れをさえぎるので邪魔だと思いました。この映画は寓話的であってもドラマ進行はリアルな時間軸で進行しますから、普通の時間軸の編集で問題ないと思うんですが。
物語後半、話の中心が父親であるコリン・ファースの葛藤に移ってしまうのが、ちょっとキューティー映画としてはマイナス・ポイントかなと。あくまでも主軸は主人公アマンダ・バインズであってほしいですし。
でもラストがとにかく素晴らしい演出で、そのマイナス・ポイントも吹っ飛びます。
実質のラストシーンとなる結婚式のパーティーシーンは素晴らしいの一言です。
(ネタバレあります)
クライマックスにあたる結婚式パーティーシーンは、本当に素晴らしいです。
このシーン、わずか数分で、物語的に重要な3つの問題を一挙に解決します。その流れがすごくスムーズで、見せ方のアイディアが素晴らしい。ほんとうまい!
●キャラクター設計のうまさ
コリン・ファースの登場時に説明される「言いたいことを言おうとすると、混乱して何を言っているか自分で判らなくなる」という設定がちゃんとラストに活かされてる 。
●役者達の演技の素晴らしさ
コリン・ファースがとにかくかっこいいし、お母さん役ケリー・プレストンがステージ上から父娘を見守る演技見事。
●カメラワークの美しさ
そのケリー・プレストンを写すシーンなどで、望遠レンズとゆっくりとしたフォロー・パンを巧みに使ったり、コリンとアマンダのダンスからオリバー登場のカメラワークも見事。ラストのカメラがゆっくり上がっていくところで無数の風船が横切る画も素晴らしい。とにかくこのシーン、全てのカメラワークが完璧。
●Van Morrisonの名曲「Have I Told You Lately」 * 4 を使った音楽演出の巧みさ
伴奏と歌の出だしとサビの部分を、展開の盛り上がり・コリンの小粋な台詞と * 5 とちゃんとリンクさせて感動を演出。
何度見ても大感動します。キューティー映画屈指の名シーンです。
ぶっちゃけ、僕は初見のとき頬を涙で濡らしながらモニターに向かって拍手しましたよ、えぇ。
まさかこの映画でこんな巧みなシーンを見せられるとは!とびっくりしました。
このシーン、コリンが登場した直後、ステージで演奏中のバンドのピアニストと、ケリー・プレストンがちょっと耳打ちしているのをわざわざ写し、BGMにもなる演奏中の曲「Have I Told You Lately」がイントロから歌に入るのですが、本当はボーカルのケリー・プレストンが歌うはずの歌をピアニストが歌うんです。その意味を考えて見るとより深く感動します。
このシーンを見ずしてキューティー映画を語るなかれ!
絶対お薦めです。
最後の最後はキューティー映画っぽくちょっと笑わせる余談をつけて終わるのですが、「みんな幸せに暮らしましたとさ」という台詞とともに描かれる庭で食事をするカットで、アマンダ・デバイスがさりげなく、イギリス滞在中にこっそり味方をしてくれていた老執事を家族と一緒の席に座らせるところがあります。こういうさりげない優しさの描写が随所にあって、見ていて気持ちよくなる傑作キューティー映画です。
* 脚注 *
- 音声解説によるとコリン・ファース自身がリック好きでコリンの提案によるものだそうです。だから世代的にリアルなんですね。 [↑Back]
- この映画の室内は『ゴスフォート・パーク』と同じ部屋を使って撮影していたとか。 [↑Back]
- この映画はディズニー映画ではありません。念のため。 [↑Back]
- 劇中ではMatt Achesonという役者が歌っている。実際の結婚式でもよく使われるスタンダードな曲で、Rod StewartやWilly Nelsonなど様々なアーティストがカヴァーしている。 [↑Back]
- アマンダと踊りながら「え〜と、罪滅ぼしにおみやげを…」というコリンの後ろからオリバーが現れるシーンは完璧! [↑Back]



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