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12.05.06

2番目のキス

cue


日本で例えるなら「阪神ファンの男を愛してしまった女性の話」ですね。一種の「大リーグファン版電車男(古)」です。

ファレリー兄弟とドリュー・バリモアという、キューティー映画的には最強コンビにも関わらず * 1 、残念ながらアメリカでは公開時、採算ギリギリくらいしかヒットしませんでした。

この映画、1997年に作られたコリン・ファース主演イギリス映画『ぼくのプレミアライフ』のリメイクです。
元映画が、サッカーの熱狂的ファンだった原作者の体験に基づいて描かれているのに対し、リメイク版は舞台をアメリカに移し大リーグのレッドソックスの熱狂的ファンに置き換えています。

ぼくのプレミアライフ フィーバーピッチ [DVD]

販売元:日本コロムビア (2004-10-20)

定価:¥ 3,990 ( 中古価格 ¥ 9,500 より )

時間:103 分 / 1枚組 ( DVD )


Fever Pitch

Warner Bros UK (2000-12-12)

定価:¥ 1,879 ( 中古価格 ¥ 243 より )


ぼくのプレミア・ライフ (新潮文庫)

著者/訳者:ニック ホーンビィ

出版社:新潮社 (2000-02)

定価:¥ 700


話のきっかけである2人の恋のはじまりが、ジミー・ファロン演じる教師が社会見学に行った会社でドリュー・バリモア演じるキャリア・ウーマンと出会い、一目ぼれしたという描写もないのに、生徒たちに後押しされて渋々デートに誘う…というのがちょっとインパクトにかけます。
ラストの恋の成就の理由もちょっとあいまい。
恋愛映画として入り口と出口の描写に失敗しています。

しかしこの映画のポイントは、付き合ってからの「相互理解」にあります。だから2人がどうけんかし、仲直りし、愛情を深め合っていくか…という「過程」を楽しむ映画です。
そういう意味では、恋愛中の描写はいい雰囲気で素晴らしいです。2人が理解しあっていく過程を面白おかしく、時にシリアスに描写していきます。ドリューの健気さが光ります。

女性から見たら自分勝手なジミー・フェロンにイライラするかもしれません。一応映画の中ではドリューがジミーにのめり込んでいく理由をちゃんと描写していますが、オタクとしての身勝手さが非常に目に付きますから「そこまで健気に尽くさなくても」と思うかもしれないですね。

劇中のキーワード、ジミーが命を捧げる「レッドソックス * 2 」は当時ダメチームでした。だからこそファンの熱狂振りが目立つという理由でリメイク時に置き換えられたのでしょうが、なんと映画の撮影中、そのダメチームが奇跡の優勝!しかも歴史的な大逆転優勝!!を果たしてしまいます。
現実がそうなった以上、映画の内容もそれに沿っていくことになります。
当初予定されていたストーリーが変更になりました。

映画の中ではさまざまなレッドソックスを語る上で有名エピソード「バンビーノの呪い」や「1986年ワールドシリーズでのビル・バックナーの史上最悪のトンネル」を使ってギャグをやったりしますが、ちゃんとエピソードの解説を劇中でしてくれるので、大リーグや野球に無知でも見れます。
けど、レッドソックスやファンの熱狂ぶりが日本ではそれほど馴染みがないですから、ちょっとピンと来ないかもしれません。

この映画のラスト、凄い重要な試合 * 3 でロケをやってます。それでこの映画が公開時、レッドソックスファンから「歴史的瞬間に何をしているんだ!」と猛反発を食らったとか。熱狂的ファンは本当に恐ろしいですね。けど、当然のことながら本物の映像ですから、画的には盛り上がります(笑)

ちなみに、主人公たちがずっと野球観戦をするレッドソックスのホームグランド「フェンウェイパーク」は大リーグ最古の球場です。球場の存在自体が物語を語る上で重要なキャラクター * 4 になっています。

ちなみに、この邦題、当時ドリュー・バリモア主演キューティー映画作品の邦題には「数字」+「キス」が付いているものがありました。
『25年目のキス』『50回目のファースト・キス』です。
これに続けと、本作も邦題で「数字」と「キス」が付けられたわけですが、ちょっと無理ありますね(笑)

レッドソックスファンの日本人の方のサイトで、この映画に関する、恐ろしく詳しい記述があります。
映画「二番目のキス」(Fever Pitch)について

これぞまさにファンならでは。たぶん、この映画に関しては世界で一番詳しく記述されているサイトじゃないでしょうか?
背景の絵柄が濃すぎて文字とぶつかり読みにくいですが、ぜひお時間のある時にどうぞ。(本当に長いです)

サイトの管理人さんはこの映画のことをC級D級と腐しておられますが、記述にあるように、映画のことをご存知ないようですから
そこはとやかく言いません。本当のC級、D級レベルをご存知ないでしょうから…(笑)
こちらからすると「あぁ、映画で語られてたレッドソックス・ファンって、こういうことなのか」と分かって面白いかと(笑)

何より、あちらもこちらも、視点は違えど「なんやかんや言いながらも」結局は
この映画が好き
ということには変わりありません。


  1. 映画ファンがよくいう、「ファレリー兄弟の面白さは下品、アンモラル」というのは、彼らの作風ではなく、仕掛けでしかありません。彼らの作風と強みは、パッと見強烈な仕掛けを使いながらもオーソドックスでしっかりとしたラブコメがちゃんと撮れるところにあると思っています。 [Back]
  2. 2008年、松坂大輔が所属していました。 [Back]
  3. 2004年のワールドシリーズで歴史的な大逆転優勝が決まる試合です。 [Back]
  4. ジミーがなぜレッドソックスにこだわるのか、という動機付けでこの球場の存在は重要です。 [Back]

ソカテゴリー:Review
タグ:アイオン・スカイ, アマンダ・ポージー, アラン・グリーンスパン, ギル・ネッター, クレイグ・アームストロング, グレッグ・ル・ダック, ケイディー・ストリックランド, ジェイソン・スペヴァック, ジミー・ファロン, ジャック・ケーラー, スコット・H・セヴェランス, スティーヴン・キング, ドリュー・バリモア, ナンシー・ジュヴォネン, ニック・ホーンビィ, ババルー・マンデル, ピーター・ファレリー, ブラッドリー・トーマス, ボビー・ファレリー, マシュー・F・レオネッティ, ローウェル・ガンツ
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